馬力を気にしない車選び

車好きなら愛車を選ぶ際にエンジンのパワーを表す馬力が気になる方は多いでしょう。確かに馬力は低いより高い方がいいことが多いです。高速道路での合流時や急な坂道、たまにサーキットに出かけたりするなど馬力が高くて役に立つことはあります。しかし、馬力ばかり気にしてては車選びの選択肢も減りますし、予算オーバーすることもあるかと思います。愛車を運転する8〜9割以上が街乗りであれば、馬力なんてあまり気にしないようにしましょう。

馬力をあまり気にしなくてもいい理由

最近の車は、低中速トルク重視のセッティングになっているのが多いので、カタログスペックからは想像つかないくらい街乗りでの発進・加速は力強いです。そもそもカタログに載っている最大馬力は、エンジンが6000〜7000回転、またはそれ以上の時に始めて発揮します。それに対して最大トルクは3000〜5000回転で発揮することが多いので、低速からの加速はむしろ馬力よりもトルクの方が大事だったりするのです。

馬力を気にしなくなった瞬間

以前、マツダのアクセラスポーツに乗っていた時のことです。
この車のスペック は、NA・2300ccの173馬力でした。買う前は2300ccも排気量があるのに、馬力はたったの170馬力ちょっとしかないのかとか、マツダは馬力のあるNAエンジンを作れないのか、といったことを考えていました。

しかし、納車後最初に高速道路を走ってアクセル全開にしてみたときに、その考えは間違っていたことに気づきました。エンジンルームから「クォォォォォーン」と街乗りでは出さないような咆哮で、173馬力とは思えないほど力強い加速をしていきました。体感では200馬力くらいの感じがしました。

やみくもにカタログスペックにこだわって馬力を高くし、低中速トルクを落とすよりは、カタログスペックという見栄を捨てても、実際に乗りやすさ、力強さを体感できるエンジンの方が一般人には合っています。
メーカーもこのことを認識している例を紹介します。

マイナーチェンジで馬力が減る例

ホンダの2シーターオープンカー「S2000」は発売時は250馬力(NA・2000cc)でしたが、マイナーチェンジで8馬力ダウンの242馬力(NA・2200cc)となりました。排気量が200cc上がっているのに、馬力が下がっているという珍しい事例です。

HONDA S2000 i-VTECエンジン画像

初期型の250馬力エンジンは最大馬力を8300回転で発揮し、おまけに最大トルクも7500回転で発生するという超高回転型エンジンでした。素晴らしいエンジンですが、ここまでの高回転はそうそう使わず、また街乗りでは低回転のパワーが不足気味になるといった欠点がありました。

そこでマイナーチェンジで最大馬力とトルクの発生回転数を低くし、扱いやすい特性になりました。スポーツカーで馬力を落とすというのは、一歩間違えば商品力の低下に繋がることです。しかし、メーカーは上級者しか楽しめないような車よりも、中級者にも楽しめるような特性を選びました。

もう一例紹介します。

マツダの「RX-8」のトップグレードに積まれているロータリーエンジンは当初250馬力でしたが、マイナーチェンジで15馬力ダウンの235馬力となりました。

RX-8 15馬力ダウンの図

こちらもS2000と同じく、低中速域での力強さを重視した結果です。

馬力が高すぎることによる短所

まず一番に思い浮かぶのが、燃費が悪いということです。パワーを出すにはたくさんのガソリンを使います。せっかく高いお金を出してハイパワーな車を買っても、ガソリン代が苦しくて車を手放しては本末転倒です。

次に思い浮かぶのが、街中では高馬力を使い切れないことです。頻繁にサーキットに行けるような人であれば問題ないですが、街乗りがほとんどという人には、せっかくのハイパワー車が能力を発揮する機会が少なく、かえってアクセルを踏めないストレスがたまってしまいます。

ハイパワーな車ほど、各部に使われている部品も高いので、もし故障したときは修理代が高くつくかもしれません。

馬力以外に楽しみを見つける

本当はハイパワーな車が欲しかったけど、金銭面や家族などの問題でそういった車が買えなかった場合は、エアロパーツをつけてみたり、インテリアやオーディオにこだわってみたり、ホイール・タイヤ、サスペンション、ブレーキなど足回りのチューニングをしてみたりして他人と違った車を作り上げて楽しみましょう。

その過程でエンジンの馬力を上げる行為はあまりおすすめしません。エンジンの馬力を10馬力上げたとしても、鈍感な人は気づきません。馬力を上げるのにはお金がかかりますし、仮に大幅に馬力が上がったとすると、その他の部分の補強やチューニングが必要になり、後戻りができなくなってしまいます。

NA車は特に馬力が上がりにくいので、走りの面で何か変化が欲しければ、社外マフラーで音を楽しむか、足回りを交換することをおすすめします。特に、車が唯一路面に接しているタイヤをグリップ性能のいいタイヤに交換するだけで、コーナーリングの安定感が全然違います。また、逆のコンセプトで静粛性を求めたタイヤに交換して、快適なドライビングを実現するというのも手です。

まとめ

最終的には自分が車に何を求めるかが重要です。

とにかくハイパワーなあの憧れの車に乗りたいという意思が強ければ、普段の使い勝手や金銭面の問題など苦にならないでしょう。しかし、「自分にここまでの性能は必要なのか?」、「高いお金を出して購入したはいいが、維持できるのか?」など少しでも疑問に感じるのなら、あえてハイパワーな車に乗る必要はないと思います。

当Webを読んでいるということは「車好き」なわけですから、自分で苦労して買った車がどんな車であろうと必ず愛着が湧くはずです。