エコタイヤに燃費向上の効果は
あるのか?

燃費が良くなるというエコタイヤとは何でしょうか? 本当に燃費がよくなるのでしょうか?

エコタイヤ=よく転がるタイヤ

JAFの会員になっていると定期的に送られてくる冊子「JAFMate」にエコタイヤについての記事が紹介されていて、とても参考になるデータが掲載されていたので、補足を加えながら説明します。

エコタイヤの例 ブリヂストン エコピアシリーズまず「エコタイヤ」という言葉について誤解をしている方がいるかもしれないので、念のために説明しておきますが、タイヤの製造工程や処分の時に、従来のタイヤより二酸化炭素の排出量が少ないだとか、有害物質が少ないだとかはほとんど関係ありません。各タイヤメーカーが燃費が良くなるということをウリにしているタイヤを「エコタイヤ」と呼んでいます。タイヤを交換することにより燃費がよくなれば、ガソリン使用量や二酸化炭素排出量などが少なくなり、結果的にエコになるので、エコタイヤと呼んでもあながち間違いではありません。
最近は、エコタイヤに抵抗があるのか、「低燃費タイヤ」と呼ぶことも多いです。

では、エコタイヤはどうして燃費が良くなるのでしょうか?

答えを先に言うと、エコタイヤというのは転がり抵抗を少なくしたタイヤで、普通のタイヤよりも少ないパワー(エネルギー)でタイヤが回るというわけです。

低燃費タイヤ統一マーク2010年1月以降から日本自動車タイヤ協会(JATMA)が、転がり抵抗とウエットグリップ性能をグレーディングシステム(等級制度)に基づく表示を開始しました。
※ラべリング(表示方法)制度について|日本自動車タイヤ協会
これにより、各メーカー間のエコタイヤの比較がわかりやすくなりました。注意しないといけないのが、同じエコタイヤでもタイヤサイズが違うと転がり抵抗が違ったりすることがあるので、タイヤメーカーのWebなどをよく確認しましょう。

転がり抵抗とは

「転がり抵抗」とは、タイヤの変形や路面との摩擦で生じるエネルギー損失のことです。
そう言われてもピンとこない方に先ほど紹介したJAFMateにいいデータが載っていたのでそれを使って説明します。

同じメーカーのスポーツタイヤ、標準的なタイヤ、エコタイヤの3種類を用意し、同じ車(トヨタのアイシス)にそれぞれを装着させて車積載車の荷台からエンジンを切った状態から惰性で走らせ、車が停止した距離を計測しています。

結果は以下のようでした。

転がりの比較表
(荷台の角度は15度で、3回計測の平均値)

スポーツタイヤ

37.8m

標準的なタイヤ

50.2m

エコタイヤ

57.1m

スポーツタイヤの例 ブリヂストン ポテンザシリーズスポーツタイヤというのはグリップ力をよくするために、標準的なタイヤよりも溝が少なく、路面に吸い付きやすいような作りになっています。グリップがいい反面、転がり抵抗は悪いタイヤとなります。その証拠が今回の実験で如実に表れていますね。

スポーツタイヤと標準的なタイヤを比べても12.4mの違いがありますし、スポーツタイヤとエコタイヤにいたっては19.3mも違いがあります。

標準的なタイヤとエコタイヤを比べても6.9mエコタイヤの方が前に進みました。

転がり抵抗が少ないと、少ないエネルギーでここまで車が前に進みやすくなります。

エコタイヤを履くと燃費がどれだけ向上するのか?

実際、愛車にエコタイヤを履かせたことがないので、ここもJAFMateのテストデータを使用させてもらいます。

計測環境は、テストコースの高速周回路を80km/hで50km走行した値です。

結果は以下のようでした。

燃費の比較表
スポーツタイヤ 14.5km/l
標準的なタイヤ 16.7km/l
エコタイヤ 17.6km/l

エコタイヤの例 ヨコハマ アースワン当然、スポーツタイヤはグリップ力がいい変わりに燃費を犠牲にしているので、あえて比較対象にしませんが、標準的なタイヤとエコタイヤを比べると、+0.9km/lエコタイヤの方が燃費がいい結果になっています。

渋滞のないテストコースでたったの約5%の向上率ですから、渋滞のある都心部だと誤差の範囲内しか燃費の向上は感じられないかもしれません。

この程度の燃費向上率では積極的にエコタイヤに交換する必要はありません。現在、標準的なタイヤを装着していて、その交換時期が来たときに、「少しでも燃費がよくなれば・・・」という気持ちで購入するのがベストでしょう。

タイヤは代々進化していくので、未来のエコタイヤはもう少し燃費向上するものになるといいですね。

エコタイヤのグリップ力は?

転がり抵抗がいい=グリップ力が悪い
と思う方も多いでしょう。これについてもモータージャーナリストが行ったテストがあるようですので紹介します。

それぞれのタイヤを履いた同じ車で、
同じコーナーを40km/hで攻めてみた結果コメントです。
スポーツタイヤ 濡れた路面でもスリップせず、狙ったパイロンに沿ってきっちりと走れた。コントロールできる余裕十分感じられた。
標準的なタイヤ ハンドルを切り込むと前輪が滑り出した。大きな破綻は見られなかったが、走行ラインは膨らんでパイロンから離れた。
エコタイヤ 標準タイヤと同じように滑り出すが、その後のグリップ力が標準タイヤよりも粘る印象で、コントロールはしやすかった。

コーナーリング時の車の姿勢写真が掲載されていたのですが、確かに標準的なタイヤとエコタイヤの姿勢がほとんど同じでした。

テスト時の環境がウエットだったので、ドライだとまた印象が変わるかもしれませんが、エコタイヤが標準的なタイヤと近いグリップ力があれば安全面での心配はいりませんね。

ブレーキ停止距離はどうなのか?

転がり抵抗少ない=車が止まりにくい
と考える方もいるかもしれません。これについても少しテスト結果がありましたので紹介します。

テスト環境は、ウエット路面で80km/hからフルブレーキを3回行ったが、
路面状況や計測器の測定状況がテストごとに違ったということで、
計測データは参考程度ということです。
スポーツタイヤ 安定した制動力を発揮。特に踏み始めの制動力の高さが実感できた。
参考制動距離:23.1m
標準的なタイヤ 制動距離に問題はなかったが、踏み始めの制動力がやや弱く感じられた。
参考制動距離:22.5m
エコタイヤ ブレーキの利き方が一定で、制動時の安心感は標準的なタイヤより高かった。
参考制動距離:23.2m

参考制動距離だけを見るとおかしな結果なので確かに当てにしないほうがいいです。
ただ、コメントを見る限りエコタイヤのブレーキ性能は特に問題なさそうです。

エコタイヤ・低燃費タイヤのまとめ

転がり抵抗は抜群に良くなっている。しかし、それが燃費向上には少ししか役立っていない。タイヤだけで燃費向上させるのはそれだけ難しいということです。

コーナーリング性能や、ブレーキング性能は標準的なタイヤと遜色がなさそうなので、一般的なドライバーであれば問題ないでしょう。

静粛性についても標準的なタイヤとほとんど変わりはないでしょう。


出典:JAFMate 2010年1・2月合併号 P.40,41